Industrie 4.0 調べてみた その3 〜PCビジネスモデルの歴史〜
概要
初期のPCは摺合せ製品でした。
⾼速I/O、と低速I/Oがモジュール化して、PCの進化が加速!
⾼速I/Oの中⾝もモジュール構造になってPCが世界中に普及!
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こんにちは。
前回はIndustrie4.0の概要を紹介しました。
⽬指す姿もメリットも産業構造の整理も、まぁ、概念としてはわかるよ。で??
という感じでもやっとした⽅も多いのではないでしょうか。
公開されている資料を転載しただけだとこの程度ですが、ほかの情報と合わせて考察するといろいろ⾯⽩い発⾒がありますので、⼀緒に⾒ていきましょう。
今回は、Industrie4.0でもかなり意識されているでろう、PCのビジネスモデルについてです。
モジュール化によるビジネスモデル⾰新
PCは、CPU、メモリ、HDD、周辺デバイス(マウス、キーボードなど)からできていて、それらが上⼿に連携するから正常に動作します。
上⼿に連携させることは難しいことで、それを摺合せで実現し競争⼒にするアセンブリ企業や、その難易度を低下させるアーキテクチャを作り⾃社のポジションを獲得する部品企業など、いろいろな企業の戦略が出てくるため、ビジネスモデルの⾯⽩い教材だと思います。
PCのビジネスモデルの歴史は、垂直統合的だったモノづくりが、次々とモジュール化され、グローバル斜形分業に変化するものです。
PC業界の⽣態系は垂直統合型からモジュール型へ変化
初期のPCはIBMが垂直統合的に作っていました。それがモジュール型へと変化していきます。
以下にその変遷の図を⽰します。
図左のバスバッファ⽅式では、CPUを最適に扱うためのBIOS(ソフト)をクローズド領域として、BIOSへのインターフェースを周辺デバイスベンダーに公開し、サードパーティを呼び込みました。
サードパーティは周辺デバイスがIBMが公開するBIOSで正常に動くようにしっかり摺合せます。
なので他社の互換BIOSや別バージョンのBIOSだと使えなくなったりします。
IBM以外のPCアセンブリメーカーは、最新CPUを導⼊してもそれに対応したBIOSがないため周辺デバイスが利⽤できず、⾼性能PCを作ることができませんでした。
PCの進化はBIOSに強烈に⽀配されることになりました。
IBMがすり合わせているのかサードパーティがすり合わせているのかわかりませんが、初期のPCは摺合せ製品でした。
次に出てくるのが、図右のバスブリッジ⽅式です。
内部にバスブリッジを置き、CPUやメモリなどからなる⾼速I/O領域(及びBIOS?)と、周辺デバイスからなる低速I/O領域を分離しました。
これによりCPUとメモリや⾼速I/Oとの摺合せは依然として必要なものの、低速I/Oで接続される周辺デバイスとの摺合せが不要となり、PCアセンブリメーカーの負担は⼩さくなりました。
⾼速I/O領域と低速I/O領域というモジュールの組み合わせでPCを作れるようになったともいえます。
これでIBM以外のPCアセンブリメーカーがベンダーから⾼性能なCPUなどの部品を買って、PCを進化させることができるようになりました。
次が、インテルが主導した中間⾼速バス⽅式です。
今度はCPUからメモリとGPUを分離しモジュール化しました。
IBMのバスバッファ⽅式と⽐べると、ブリッジが増えた代わりに摺合せ要素が少なくなってきたことがわかります。
各部品メーカーは直近のインターフェースへの接続だけ気にすれば製品を作れますし、PCアセンブリメーカーは部品メーカーから⾼性能な部品を買って組み合わせればハイエンドからローエンドまで所望の製品を作ることができます。
モジュール化が進むことで各部品で競争が始まり、最終製品の性能はどんどん上がっていきます。
また、部品価格は下がり、PCのトータルコストも下がり、多くのユーザーにPCがいきわたり、ユーザーはハッピーになります。
ところで、部品メーカーは単価が⾼いほうがハッピーなのですが、
部品価格が⾼⽌まりしたらPCのトータルコストは下がりません。
そうするとユーザーはハッピーじゃないですね。
このトレードオフへの解がグローバル斜形分業です。