のらケミスト

中小化学企業で新規事業とか技術開発している人のブログ。技術的な話とか転職の体験談をご紹介。

こうやったら受かった!某有名コンサルの雑談二次面接~前半~【未経験からの戦略コンサルタント転職】

こんにちは。
今回の未経験からの戦略コンサルタント転職は、某有名コンサルティングファームの二次面接です。
個人的に、一番盛り上がった、というか好き勝手なこと言えた面接でした。

自己紹介

私:こんにちは!

面接官:こんにちは!僕は最初IT企業に入って、、、転職して今シニアマネージャーで、、、~~な者です。さっそく自己紹介してもらっていい?

私:はい。…(テンプレ)。

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面:なんでコンサルタントになろうと思ったの?

私:面白い技術を社会実装するために自分に足りない能力を身につけるためと、企画の仕事で他部署の開発支援もやっていたのですがそっちが思ったより面白かったので一度本格的にそういう仕事をしたいと思ったからです。

面:そっかー。今の会社じゃできないの?

私:社会実装能力を身につけることに関しては、できないと判断しました。化学業界の特性ですけど、開発に時間がかかるので開発以外の能力を身につける機会がありません。開発支援も、要は社内で似非コンサルタントやってただけなので。どうせなら本場でやりたいです。

面:その感覚は理解できるねー。てあればコンサルは悪くない選択だと思うよ。

自社の問題について議論

面:御社では新規事業って難しいの?

私:不可能とはいいませんが、私には無理だと判断しました。

面:なんでそう思うの?

私:構造的にチャレンジできない、あるいは無意味なチャレンジしかできない状況が出来上がってます。
まず新しいものを実際に産み出す現場の視点でみると、新規に技術開発して、量産体制整えて、品質保証して、とやっているうちに簡単に5年くらい経ちます。これは設計とファブとが分離できていない化学産業の特性で、今時点の科学やエコシステムではどうにもできません。さらに、新規の材料となるとユーザーも一から信頼性試験をする必要があります。これだけでも1年かかったりします。そもそも今までにない機能を持った材料だと、その特性を使った製品設計をしている人もいないので、アプリケーションが見つかるまでまた時間がかかります。

面:化学はそうだよね。

私:次に経営寄りの立場の視点で見ると、会社は3-5年の中計で動いています。役員の方々もそのタイムリミットで成果を出すことを求められます。すると、時間的に新規開発は成果がでないことが最初から決まっているので非常にやりづらくなります。それでも無理やり理屈をつけて始めるのですが、中計が終わる頃には成果が出てないことが明確になるので、プロジェクト終了への圧力が高まります。

面:オーナー企業でないとこはそうだよね。

私:ということで、現場の現実と、企画の理屈が全くかみ合っていないのが今だと思っています。

面:まさに化学産業の今を的確に捉えてると思うよ。
(ホワイトボードに書き始める)
こういうことでしょ?現場は技術的な視点でものを見る。経営側は投資家的な視点でものを見る。ここに断絶ができてる。
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私:まさにそうなんです!本来はこの間を取り持つ機能があればいいんですけど。

面:でもさ、いるよね!そういうミッションの人。ビジネスよりの技術の人と、技術よりのビジネスの人。
(ホワイトボードに追記)
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私:私がまさにビジネスよりの技術の人の役割でした。

面:でしょう!でも、結局分かり合えないんだよねー。

私:そうでした。真ん中付近に立ってみると、分かり合えない理由もよくわかるんですよ。

面:どういうこと?

私:最近ファイナンスの勉強してみたんですけど、事業の評価でIRRとかが一般的に正しいとされているみたいですね。

面:そうだね。

私:それで考えると、素材の新規事業は圧倒的に魅力がないんです。例えばIRRを考えるためには将来にわたる売上の推移が予想できないといけませんよね?そしてその数字にはエビデンスが求められます。

面:それはそうだ。

私:例えば医薬品だと簡単で、患者数がわかっていて、売値は保険で利益確定するので、現在価値をかなり高確度で予想できます。さらに開発コストもこれまでの知見から予想できるので、期待値がプラスならやればいいし、マイナスならやらないという判断が簡単に下せます。何と言うか、顕在化しているアンメットニーズが明確なんです。

面:医薬業界はそうだね。

私:で、化学はというと、顕在化しているすでに成熟したニーズか、潜在的なニーズしかありません。顕在化したことにはサプライヤーが決まっているというか、サプライヤーが出そろって初めてニーズが顕在化するというか。

面:ふーん。

私:現場から出せるプランは、参入余地のない成熟市場か、大企業では参入する気が起きないくらい小さいニッチな市場か、存在するかわからない大きな潜在市場ということになります。

面:感覚的にはその話はあってる気がするね。

私:このマーケット情報から事業計画立てると、
成熟市場なら「なんでうちがその市場で勝てるの?」となり、
ニッチ市場なら「IRRで100億円くらいないと1兆円規模の弊社がやる仕事ではない」となり、
潜在市場なら「そんな市場が存在するか信じられないからまずお客さんに見つけてこい」となります。
もうね、この質問に答えるのは現場の人間には無理なんです。

面:そういうケースはかなりよく見かけるようになったよね。

私:で結局どうなるかというと、事業計画を評価できる成熟市場への参入プランを、ありもしない技術的優位性を謳って実行することになります。でも、すでに競合が設備投資を終えていたりするので、大体の場合、コスト競争で負けます。
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面:うーん、新規事業って難しいのかなー。

私:ただ、これは一社でやろうと思うから解なしになっていると思います。第三者がいると構造がすっきりしてくると思います。

面:ほう。どういうこと?

私:実現性軸を重視して経済性そこそこで満足するプレイヤーの存在です。
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大手企業の現場には面白い技術と実行可能なプランがたぶんあるんです。でも大企業の投資基準に満たないので実行されることはないです。
なので小さい会社に実行させるんです。小さい会社であれば1億円のプランでも喜んで実行するところはあるはずです。大手では新規案件のような費用対効果の読めない高リスクな案件は取り扱いないので、であれば割り切ってインキュベーションは小さい会社に任せてしまったほうがせっかく作った技術が無駄になりません。
少なくとも社会には還元されますし、万が一すごく大きな事業になったら潤沢なキャッシュを使って買い戻せばいい。
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この構造が作れれば、大手企業の現場の強みベースの新規事業を立ち上げることができるのでは?と思っています。
大きな事業にならない場合も、もともと捨てるつもりだったくらいだから痛くないでしょうと。

面:これはまさにベンチャー企業の役割だよね!実は我々コンサルもまさにこの構図の中で重要な役割を果たせると考えていて、ベンチャーがものづくり側のミッシングピースを果たすと同時に、企画側のミッシングピースであるベンチャーの探索、マッチングをやるプレーヤーが必要だね。さらに、これらプレーヤーが活動しやすくなるように、法制度や資金の流れを作ってやる必要もある。弊社では政府やベンチャーとの連携を作る形で大企業の新規事業創出に貢献する取り組みも、実際やっているよ!

私:そうなんですね!それは面白い!ぜひ化学産業に適した産業構造作ってもらえると私個人としてはうれしいです。

(続きます)

tamagoyaki1999.hatenablog.com

以前から考えていたことを喋っただけですが、考えてないととっさにこんな議論できなかったかもと思います。
tamagoyaki1999.hatenablog.com
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