のらケミスト

中小化学企業で新規事業とか技術開発している人のブログ。技術的な話とか転職の体験談をご紹介。

こうやったら受かった!某有名コンサルの雑談二次面接 ~後半~【未経験からの戦略コンサルタント転職】

こんにちは。
今回の未経験からの戦略コンサルタント転職は、某有名コンサルティングファームの二次面接続きです。
前回でアイスブレークも終わり、会話の脱線は加速する。

tamagoyaki1999.hatenablog.com

エコシステムについて議論

面:でもこれってそんな珍しい構図ではないよね?

私:例えば電子デバイス系だと普通の構造だと思います。ベンチャーのような小規模事業主が製品を市場に投入するための環境が整ってますよね。デバイス設計のCADツールも無料のものからそろってますし、プリント基板製造や3Dプリンタなんかがもう標準化されてプレーヤーがたくさんいるので、少量でも安く調達できるようになってます。
なので、小規模事業者が自分の資本に応じたサイズで無理なく起業できるんです。

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面:そうだよね。

私:でも化学でこれを実現しようと思うととたんに難しいんです。
外ファブもだんだん増えてきているように感じますが、プロセスが画一化されているようでされてないので、業界として水平分業ができず固定費負担がまだまだ大きい。製造技術を一番持っているのは大手メーカーですが、彼らは製造技術を強みにした製品売りのビジネスモデルなので、製品を手放してファブ貸しビジネスやることは今時点では考えにくいように見えます。

面:外部環境が整ってないから成立してないんだね。でも半導体の事例考えたらファウンダリビジネスって儲かるよね?なんでやらないの?

私:輸送の問題が大きいのと、

面:あー、そういやそうだね。

私:化学の特性の問題ですね。法則があるようで例外だらけ。学生時代、化学の授業受けてて笑ったのが、最初の方でマルコフニコフ則っていうルールを習うんです。ある二重結合にハロゲン化水素を反応させると、C-Cボンドのこっち側にハロゲンがついてこっちに水素がつきます、みたいな。で、その直後に逆マルコフニコフ則を習うんです。実は反対につくこともありますと。それも例外的にではなく、高頻度で。それ法則じゃなくない!?あの業界は法則と呼べない法則しかないんです。

面:そりゃ難しそうだ。

私:ITなんかだと、記号論理学っていう人間が作ったルールで動作してるから、予想したことがそのまま起こりますし、コピーは100個作ろうが1億個作ろうが全く同じものができることが担保されてますよね。

面:そうだね。

私:化学は違っていて、同じことが同じように起こらない。小スケールでできたことがスケールアップしたら同じことができないなんてざらです。そして、なんでそうなるのかわからないことも多い。
なので、小スケールでプロトタイプ作ってニーズにマッチするか確認してから大きく投資、というリーンスタートアップができない。大きく投資したときに製品が作れるかがわからないし、お客さんも量産できるまで量産できると思ってませんし。

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ベンチャー企業の話

私:そんな現象論の世界なので、経験値がものを言います。
同じ職場に尊敬できるおじいちゃんエンジニアがいるんですが、まあその人がその人にしか理解できない意味不明な理論を展開してくるんです。で、私は教科書とか論文とか引き合いに出して、「それはないでしょう。」とか議論するんですが、やってみるとだいたいおじいちゃんのアイデア当たるんです。

面:あ、それは面白いね!化学業界だとおじいちゃんが競争力になるわけだ。理論がないってことはキャッチアップも難しい、というか出来るかどうか不確実性があるわけだよね。そういう意味でもITとは違うね。その特性を活かして化学特有のエコシステムとか考えられないの?

私:エコシステムかはわかりませんが、面白いベンチャーがあって、引退したおじいちゃんを安めに雇って、ものづくりしているところがあるんです。長年の積み重ねで当たり外れはありますが、技術者の能力としては圧倒的に若者よりおじいちゃんの方が上ですよ、この業界。しかもそういうおじいちゃん、長年大手で働いてきてるのでお金には困ってないので、新卒くらいの給料でも働いてくれたりします。

面:そのビジネスモデル面白いねー!俺だったら投資しちゃうなー。

私:私もそう思います!めっちゃ面白そうなのでそこへの転職も検討してるんですよー。

面:あっそうなん?でも君はそこに入っても意味ないよね?

私:え、そうですか?

面:あ、気を悪くしたらごめんね。この会社のKPIは別の要素だよねって話。ここの競争力は単純におじいちゃんの数に比例するんでしょ?
Y = AX
Yが会社のパフォーマンスでXがおじいちゃんの数ね。君が入ってどんな機能を提供するの?技術力はおじいちゃんの方が上なんでしょ?

私:いや、、、そうですね。技術とビジネスを繋ぐ潤滑油的な機能かもしれません。

面:重要かもしれないけどどういう変数でこの関数に組み込まれるのかな?単純に君の分、もしかしたら二人分かもしれないけど、足し算されるだけじゃ面白くないでしょ。

私:うーん、そうかも。。

面:僕が行ってもそれは同じだけどね。おじいちゃんエンジニアに技術が遍在しているっていう業界独自のファクターを押さえつつ、成長のドライバーが明確で戦略も立てやすいから、そこで働こうとは思わないけど、投資には値すると思う。


私:あー、なるほど。そういう考え方をするんですねー。

面:僕は経済が専門だからこんな見方になるよねー。もちろん最終的な判断するために詳細検討は必要だけど、ぱっと聞いた感じ筋はいい気がする。

私:なるほど。ちなみに、ベンチャー投資って何をどう判断して企業価値決めてるんですか?わかりますか?

面:あーそれはね。えいやー、だよw

しばらくベンチャー投資の話

面:起業家とかベンチャーキャピタリストと話したことある?

私:ないです。

面:どんなイメージ持ってる?

私:うーん、起業家はイケイケ。ベンチャーキャピタリストは堅物。そんな感じですか?

面:ベンチャー界隈の人は、コンサルとは真逆のタイプが多いね。ただの言葉のイメージだけどこんな感じ。
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悪い言い方かもしれないけど、少年漫画的な人多いよ。

私:「友情」「努力」「勝利」みたいな。

面:そうそうwww

私:前にベンチャーピッチのセミナーみたいのを受けたことがあって、そのときにバリュエーションの話が出て、投資家がどうやってそれを決めるのか質問してみたら、

と言われて意味わかんないって思いました。

面:たぶんそれでだいたい合ってると思うよ。で、最後はえいやーで決まります。ぶっちゃけ誰も立ち上げ当初のベンチャー企業の価値なんてわからないのよ。結果論として後からあーだこーだ言う人はいっぱいいると思うけどね。えいやーよ、結局。

私:そうなんですね。私にはよくわかりません。

面:これは適正出ると思うよ。

締め

面:で、話を戻すと、何の話をしてたっけ?

私:えーと、何でしたっけ?なんか弊社の問題的な構造がホワイトボードには書かれてますが、、、あ、弊社では新規事業が難しいかどうかです。

面:そうだった。で、難しいと思ったから外行ってやろうと。ベンチャーが回るエコシステムが出来れば化学業界も新規事業が立ち上がるだろうと。で、そんなベンチャーもちらほら出てきたよと、いうことだね。で、なんで社内が難しいかというと、、、

私:判断基準と現場に解離が生じてしまっていて行動できないから。で、この解離は大企業であるが故の構造的な問題なので解消が難しい、と私は思ってます。であれば、もうそういうもんだと割りきって、大企業では潤沢なキャッシュフロー活かしてM&Aベンチャー投資に振り切って、ベンチャーが事業立ち上げを担う。基礎研究は実はそんなにお金かからないので大学や大手の隅っこでやりたい人が自由にやるのでいいんではないかと。

面:なるほどね。あ、もうこんな時間だ!時間オーバーしちゃった!急いで次の人呼んでくるからちょっと待ってて!

私:あ、本当だ。すみません、面接っぽい感じにならなくて。

面:あー、いーよいーよ。じゃまた!

私:ありがとうございました!


この日はもう一人と面談しましたが、結果的には合格でした。この回は本当にただの雑談でしたね。
日頃から視座を高めるよう意識して、本読むなり勉強しておくほうがよさそうです。

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