のらケミスト

中小化学企業で新規事業とか技術開発している人のブログ。技術的な話とか転職の体験談をご紹介。

ケース面接の考え方【未経験からの戦略コンサルタント転職】

こんにちは。壊れやすいものを過剰梱包したら荷物がでかくなりすぎました。

ケース面接についてです。これまでフェルミ推定について記事を書いてきましたが、ケース面接はフェルミ推定の応用問題という感じのものです。
tamagoyaki1999.hatenablog.com

ケース面接とは?

これについてどう思う?
とか、
これについて対策考えて!
とか、
何か提案して!
って言われるやつです。
ケース面接のパターンは無限にあって、これ一個覚えれば大丈夫というものもないので、人生消費して培った力を出しつくす気持ちで最善を尽くしましょう!

よくあるケース面接のお題

ケース面接では以下のようなお題に対して提案を考えます。

  • お金のケース:売上アップ、利益アップ、価格設定

利益=売上-コスト
というベーシックな考えに基づき、お題の事業の売上構成、コスト構造を明らかにし、どこにどうやってメスを入れるかを提案します。

流れ

  • 目標の確認
  • 事業を数式化
  • 現状把握:各変数に現在の具体的な数字を入れる
  • 問題認識:弱い変数を見つける
  • 課題設定:変数の数値の改善目標を設定する
  • 対策立案:目標達成のための対策を考える
  • 検証

では、お金のケースを見ていきましょう。

目標の確認

普通の仕事もそうですが、面接官とこのケースでのゴールイメージを共有しときましょう。
お題が「利益を○○%アップさせて!」だったとして、一番最初に念押しで確認して、なんならホワイトボードに目標をでかでか書いときましょう。
面接官も出したお題を忘れることあるので。

事業の数式化

例によってこの式の出番です。
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だいたいの場合、フェルミ推定やってから施策提案という流れですが、何か提案してといきなり言われてもまずは数式化しましょう。
出来上がった式を眺めながら、どの変数をいじるとインパクトが大きいかを考えます。
例えば、部品Xを販売している会社があったとして、
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と、まずは事業を数式化します。

現状把握

次に現状の情報を集めます。
数式で書くとよくわからんって人もいるかと思いますが、
Σ業界は業界別シェア、Σユーザーはお客リストという感じです。この数式をたてた場合は、ユーザーごとに売上とコスト整理します。
集め方は、以下3通り。

一番いいのは面接官に聞くこと。思考プロセスに本質的でない情報は適当に設定してくれます。

問題認識

改善余地の大きい数値、感度の高い数値を見つけます。
例えば、

  • シェアが低い
  • 取引業界が成長してない
  • 取引先が少ない
  • 特定ユーザーに対して販売量が極端に少ない
  • 特定ユーザーへの依存度が大きい
  • 単価が低い
  • 製造比例費が高い
  • 製造固定費が高い

課題設定

改善目標を設定します。
この変数を○○%改善すると利益が○○アップする、というように改善目標と期待される結果をセットで考えます。
「この変数」というのがいわゆるKPIで、この設定はセンスが出ます。

  • 達成したとき効果が大きい
  • 達成可能性がある
  • 達成に向けて元気が出る

ようなKPIを設定しましょう。

KPIの設定

アレルギー持っている人もいるかもしれません。KPIです。
そもそもKPIってなんでしょう?
KPIってあれでしょ?PVとかコンバージョンとかってやつでしょ?
っいう認識の方、間違ってないです。
例えば、改善したい数値をyとおいたとき、ある変数xとの関係が、
y=ax + b
だった場合、a, b, xがKPI
となりえます。目標とする数値と相関のある変数がKPIということです。yのことをKGIと呼んだりもします。
マルチ商法の例を考えると、上納金による利益yが、部下の売上xに割合aをかけたものから本部への取り分bを引いたものと定義すると、
y=ax-b
となります。yを大きくするにはa, xを大きくしてbを小さくするしかないですが、a, bは本部で決められた数字(定数)なので動かしようがありません。なので、部下の売上xにテコ入れしようとなります。部下の売上xは部下の人数×平均売上で決まります。よってKPIは部下の人数と平均売上となり、ガンガン友達を誘い、仲間内での勉強会を定期的に開いて売上アップを目指すという、よく聞くマルチになっていくのでした。

対策立案

KPIは設定できました。で、具体的に何しますか?です。
及第点な回答としては、

  • 同業他社の過去のベストプラクティスを持ってくる
  • 他業界のベストプラクティスを持ってきてその業界にカスタマイズする

のが手堅いです。
ICメーカーに対して、インテルインサイドモデルで自社製品の単価を高止まりさせつつ、最終製品の価格を下げることで、高単価と販売数量を同時にアップさせましょうと提案するようなイメージです。
もう少し、おっ!と思わせられるのは、
他業界のベストプラクティスを持ち込んでその業界用にカスタマイズすること
です。
うちは餡に強みがある饅頭屋だけど、餡と饅頭生地をモジュール化して、誰でも簡単に美味しい饅頭を作れるようにし、さらに饅頭屋をたくさん育てる育成プログラムも提供し、独立した彼らに餡を供給する、
饅頭界のインテルを目指す!
みたいな感じ。言ってることは同じですが饅頭では聞いたこと無いからちょっと面白いです。
他業界のアナロジーで攻めるのが面白味と納得性でバランスのいい回答のように思います。
こういった提案を出すためにはとにかく大量の事例をインプットしておく必要があります。
下のようなケース本を普段読まない人は面接受ける前にしっかり勉強するのが吉です。
    

とはいえ、今は戦略コンサルタントも供給過剰になり、お客さんも過去のベストプラクティスを応用するノウハウを身に付けてきてしまったため、こういった提案では陳腐になったしまうそうです。
なので、コンサルティングファームが今本当に求めているのはもっとぶっ飛んだ(でも論理の飛躍があってはいけない)アイデアなんだそうです。

最後に

ケース面接では、

  • こいつ議論相手になるか?
  • お客さんのところに連れてっても大丈夫か?

というような観点で見定められます。試験問題を解くというよりブレストに近いです。
ブレストのお作法をしっかり守って議論を盛り上げましょう!