【化学企業の現場】エポキシ樹脂の塩素不純物
こんにちは。台風直撃の日に傘忘れました。
今回は、エポキシ樹脂の塩素不純物についてです。
近年半導体の微細化が進みすぎちゃったせいか、電子材料向けの原料に対する純度の要求がえげつないです。
で、エポキシという超便利な硬化性樹脂にもその波はバンバンきているわけです。
最近キャッチーな話題の一つがは塩素フリー、つまり塩素不純物のないエポキシ樹脂です。
エポキシに含まれる塩素不純物とは?
無機塩素と有機塩素に大別されます。無機塩素のほうが嫌われます。
有機塩素の混入ルート
エポキシ化では、塩基性条件でできたフェノキシドがエピクロロヒドリンと反応します。このとき、エピクロロヒドリンの塩素のついた炭素にアタックして塩素が抜けるのかと思いきや、エポキシ環の炭素にアタックして、エポキシ環が開環したクロロヒドリンがまず発生します。そして、分子内エーテル化が起こりグリシジルエーテルとなります。
分子内エーテル化しなかったものや、アルコキシドが別のエピクロロヒドリンに反応してしまったものなどが有機塩素となります。
こんな反応なのでそりゃ不純物も混ざりますよね、という感じです。
エピクロロヒドリンの作り方
プロピレンに塩素を作用させてアリルクロライドにします。次に塩酸を作用させてジクロロヒドロキシプロパンにします。最後にアルカリを作用させてエピクロロヒドリンとなります。
これまた上述したのと同じで、閉環しなかったもの、二量体化した不純物の残りそうな反応ですね。。
【クリエイティブに役立つ思考方法】雑談 - 1
こんにちは。抽象度の上げ下げで書いた内容について、愚痴っぽくなっちゃったから削除した内容です。
アクションは具体的に決めるべしとか、手段が目的化しちゃいかんとかこうあるべしというビジネス本は山ほどありますが、これらは抽象度をできるだけ下げ、必要なことだけを実行しなさいという、現場寄りのハウツーですね。現場は作業効率が全てなので不確実なことは排除し、取れることがわかっている成果を最大効率で取りに行くことが推奨されます。
が、実は、抽象度の高い状態も低い状態も、どちらのスタンスも許容しながら場合によって使い分けるのが発想を広げるコツで、これが企画等のクリエイティブ寄りのハウツーになります。
なんちゃらの本ではこう書いてあったとか、自分の経験上こうだったとか、そういう具体例は抽象度の低い話で、なんとなくこういう傾向があるよね、とか、ざっくり言うとこんな感じよね、が抽象度の高い話です。
※企画寄りの人で、クリエイティブな仕事が上で、現場作業が下みたいに思う人が一定数いますが、あくまで役割分担の話なので、そういう人は頭悪いなーくらいの感じで生暖かく見守りましょう。
※※クリエイティブに憧れる現場の人はそういうスタンスもあることを素直に受け入れましょう。
日本人は抽象化が苦手だと言われています。DNA的な話ではなく、日本という生活環境で育った人は抽象化するスキルを磨く機会があまりないまま大人になることが多いということです。日本ではとにかくリスク(=不確実性)をゼロにすることが求められます。抽象的な状態とはリスクのある状態なので全く歓迎されません。心当たりのある人は多いはずです。
しかし、リスクのないものだけ求めても旨味にたどり着けることがなくなったため、抽象的な状態を許容する、抽象的な概念の中を探索することが次の成長のために必要になりました。
いやいや日本人は抽象化が苦手というが、私の知り合いの現代アートの第一人者の○○さんはとても抽象的な作品を作ることで世界的に評価を受けているので日本人が抽象化が苦手だという意見はデマでしかない、
というような個別事例を上げた非常に具体的な反論を展開したくなった人は抽象的な考えが苦手寄りな人なのでご注意ください。
抽象化という概念は、これまで日本の教育で良しとされてきたことの逆なので、慣れない人が多いと思います。良い悪いという評価軸を設定することさえ抽象化を妨げる要素になり得ます。そんな概念です。
抽象化は練習で上手になるといわれています。頑張りましょう!
【クリエイティブに役立つ思考方法】抽象度の上げ下げ
こんにちは。スーツのズボンに穴空いてました。。とりあえずホチキスで応急処置して出社してます。
今回は企画とかクリエイティブ要素のある仕事をするときにちょっと便利な思考方法をご紹介します。
問題にぶつかったときになんとか打開策を考えたい、でもいいアイデアが出てこない。先輩に相談したら一瞬で解決策出されて凹む。なんてことありますね。自分はなんて発想力が乏しいんだと。
アイデアマンにそこそこ共通している特徴として、
- 知識・経験が豊富
- 視野・視点・視座の動かし方が上手
ということがあります。
ぶっちゃけ、知識・経験の寄与がめちゃでかいので、人生の先輩に勝てないのは気にしなくていいです。なんとかして経験というレアアイテムを入手できるよう日々チャンスを探しましょう。これが圧倒的に大事です。
1人でも練習できる小手先の技として、視野・視点・視座を動かすというものがあります。たまにこっちのほうが大事でアクションする前にいろいろな視野・視点・視座から物事を考えることで失敗がなくなるとかイノベーションを起こせるとか言う人いますがほっときましょう。若輩者のスタンスとしては「考える前にとにかくチャンスに飛び付く」です。
という前提のもと、視野・視点・視座を動かすことができるテクニックについてご紹介します。
抽象度を上げ下げする
抽象度を上げたり下げたり、いろんな具体化レベルで思考することで思考の探索領域が大幅に広がります。
その方法論について以下に書いていきます。
抽象度が高いとは?
物事を俯瞰する、目的を考える、カテゴリーで考える、次元圧縮する、モデル化する、近似計算する、曖昧な状態、なんとでもとれる発言、具体的なアクションが見えない、ピカソ、のようなことです。
抽象度の上げ方
日本人は手段を考えることが得意と言われています。なので抽象度を下げる方向の思考は特にアドバイスするまでもなくみなさんできると思うので割愛します。
目的⇔手段という上下関係を意識する。
△△(手段は)○○(目的)のためにする。
△△(手段)によって○○(目的)を達成する。
包含関係を意識する
△△は○○に含まれる。
△△なものは必ず○○である。
因果関係を意識する
△△すると○○が起こる。
△△だから○○である。
有名なトヨタ式:なぜと5回問う。
なぜ?を考えるたび思考が一段上か下のレイヤーに行きます。
目的を問う「なぜ」と、原因を問う「なぜ」があります。
図式化する
上位概念⇔下位概念
目的⇔機能⇔物理
の順番を守って可視化してみましょう。
上下関係の入れ替えをばんばんやりながら整理するので、ポストイットを使うと便利です。
例題 みかん
例題 掃除
次は、仕事でありがちなケースを考えてみましょう。
AIによる現場改善
現場のエースで将来を期待されていた課長のAさんは突然本部長会議に呼び出されこんなことを言われます。
「近年AIの民主化がかなり進んでいるようでね!うちもAIをやって高利益率の骨太体制を構築すべきだと思うのだ。でだ、私が普段懇意にしているコンサルX社の調査結果から、AIで現場の効率を50%も改善できるという驚異的な提案が出てきたのだ!現場のことをよく知っているA君には是非コンサルX社とタッグを組んで現場にAIを導入してもらいたい!どうだね!?」
まずなんのこっちゃかわからないのでコンサルX社を呼んで話を聞きます。すると、同業他社Y社では、テキスト自動生成&電子アーカイブ、承認プロセスの電子化、社内SNS等で50%の効率化が実現できたという導入実績を説明されました。
Aさんの会社は未だに神エクセルで業務が回っている大手老舗超優良企業だったため、確かに改善効果は高そうだとAさんも直感的に感じコンサルX社とがっちり握手を交わしプロジェクトを開始しました。
業務洗い出し
同業とはいえY社とは社内システムが違うので自社にはどんなAIが適用可能か、現状を調査します。
工事発注作業にかかる工数が非常に大きいことがわかりました。
工事内容の打ち合わせ→仕様書作成→上司へ説明&承認→工事工程管理書作成→上司へ説明&承認→環境安全部へ説明&確認→リスクアセスメントシート作成→上司へ説明&承認→環境安全部へ説明&確認→発注依頼書作成→上司承認→購買部へ仕様書と依頼書送付→購買部より発注→着工→各種書類に終了確認記入→保管
書類仕事が多いのでRPAの導入で改善が期待できます!
業務内容の可視化
具体的に何をどう改善可能か、可視化してみました。
ここまでやって、Aさんはなんだかもやもやした違和感と昔感じていた感情が甦ってきました。
「そもそも、工事内容の打ち合わせで全部明確に業者と合意形成しているのに、誰も見ない工程管理書作ったり、打ち合わせ内容コピペしているだけのリスクアセスメントシート作る意味がわからない!!」
そこで、それぞれの作業の目的に翻って考えてみることにしました。
目的構造の可視化
ルールを決めた当時の背景はわかりませんが、今時点では工程管理書とリスクアセスメントシートはコンプライアンス遵守していることの証拠として作成している意味合いしかないことがわかってきました。
本来は作業員の安全確保するにはどうすればよいか考えるためのシートだったはずですが、今となっては形骸化していました。ただ神エクセルに合わせて文書や構成を考える必要があり、無駄な手間ばかりがかかっています。
ここまでの検討で可視化された、書類を作る目的と、書類が持つ機能を整理します。
究極的には、「企業価値向上」、「企業価値毀損回避」、「個人の利益の最大化」が活動の目的となりそうです。
これら目的、機能を満たす手段を神エクセル含めて最適設計するのがよさそうです。
現場の安全、コンプライアンス遵守を確保しつつ、工数を劇的に削減可能な新規プランを提案しました。
新規プランの提案
重要ポイントとしては、
- 担当者は実質的に必要な作業(工事内容検討、現場の安全確保)に時間をさけるようにする
- コンプライアンス遵守の証拠づくりは自動化
- 社内で既得権益化している環境安全部の業務にメスを入れ機械化(環境安全部員によるダブルチェックが機能するのは環境安全部員の質が担保されている場合で、近年はその質が下がっていることが問題となっており、むしろ機械化することがダブルチェック機能の強化につながる)
実施提案として、
- 「仕様」、「業務内容」、「安全に関する事項」の3部構成からなる工事打合せ議事録フォーマットを作成。
- 議事録から仕様書、工程管理書、リスクアセスメントシートを自動生成。
- 各書類は、過去事例から類似案件を検索し、漏れている観点を補完。担当者はこれを確認。
- 環境安全部がこれまでリスクアセス、書式のダブルチェック機能を担ってきたがこれは機械で代替したので環境安全部の確認工程を排除。
このように抽象度、目的と手段の思考レイヤーをいったり来たりすることで現状を俯瞰的に把握でき、良いアイデアに行き着くことができます。
今回の事例での、コンプライアンス遵守の証拠書類としての存在意義しかなくなってしまっていたリスクアセスシートのように、昔からの積み上げ式で出来上がってきたシステムには形骸化してしまいムダになってしまったものが多かったりします。当たり前を疑うための思考テクニック活用してみてください。
その後、Aさんは海外支店への転勤となり、プロジェクトはBさんが引き継ぎ、コンサルX社に言われるがままRPAを導入して、神エクセルへの入力の手間は多少軽減されたものの、相変わらず環境安全部で書類が止まる状況は改善されなかったようです。
なぜAさんが海外支店へ栄転することになったかというと、Aさんは業務改善以外の大事な目的を見落としていたようです。
管掌役員からしたら手っ取り早くAIなるものが導入されるだけで成果になると考えていました。
仮に効果が大きかったとしても環境安全部というほかの役員の領域まで踏み込んだ提案なんて出してほしくなかったわけです。
サラリーマンって難しい!!
フェルミ推定の考え方【未経験からの戦略コンサルタント転職】
こんにちは。お盆明けの通勤電車まじやばいです。
今回の未経験からのコンサルティングファーム転職は、フェルミ推定の勉強法です。
コンサルタント独特の考え方がありますので、フェルミ推定の練習の前に知識は入れておきましょう。
tamagoyaki1999.hatenablog.com
ケース面接には、
の3パターンあります。フェルミ推定は○○の市場規模みたいに、普通は知らない数値情報を予測する思考ゲームで、ケースはあるシチュエーションのお客さんに対してどのような提案をするかを考えるロールプレイです。フェルミ推定で市場規模を出して、そのあとその市場にたいして何かしら売り上げアップなりの施策を考えるケースがくっつくことが多いです。
フェルミ推定
フェルミ推定は、お題に対して数式を立てて数字を回答をするゲームです。
下に書いたただ1つの公式でほぼ乗り切れます。
Σとか書いとけば文系面接官にはいい牽制球になると思います。
フェルミ推定を解くときは毎回この公式を最初に書きましょう。
この公式を使って練習問題をひたすら解いていけば戦略コンサルティングファームの面接を余裕で通過する力がつきます。
では使い方を見ていきましょう。
単位量当たりの大きさ×数量
売上=単価×販売量
というのはよく見かけますよね。世の中の数値は全部この売り上げの例のように
(単位量当たりの大きさ)×(数量)
に分解可能です。
- 距離=速さ×時間 (※速さ=単位時間当たりの移動距離)
- 四角形の面積=縦の長さ×横の長さ (※縦の長さ=横の単位長さ当たりの縦の長さ)
とかも分解の例ですね。これらは小学校から見覚えのある単位ですが、それ以外でも例えば
速さ=体重当たりの足の速さ×体重
とか単位を勝手に自分で作ってしまってもOKです。フェルミ推定では計算しやすい単位を作れるかどうかが勝負です。
単位で考える方法
適当に単位を作って考えるときは、理屈がおかしくならないように気を付けましょう。
理系にはお馴染みの、ディメンジョンに注意というやつです。
売上=単価×販売量
をディメンジョンで考えると
となります。
また、重さをディメンジョンで考えると、
の場合は密度×体積となりますし、
の場合は一円あたりの重さ、デパートの量り売り惣菜みたいな感じになります。
右辺を計算すると左辺になることを確認しましょう。
実際にフェルミ推定の問題を解く手順
1. 答えのディメンジョンを明確にする
お題が市場規模なら左辺のディメンジョンはyenですし、利益率なら%=yen/yenです。ディメンジョンの異なる回答をしないようここは一番最初に確認しましょう。
2. 方程式をたてる
次にその数字を求めるためにどういう数字なら予想できそうかスクリーニングします。スクリーニング方法は、まずは自分が知っている数字のディメンジョンで答えのディメンジョンを割ってみます。代表例としては、人口、一年の日数、平均寿命、日本の国土面積など。
1日当たりの売上が予想できそうなら、
という式を立てます。
式が立ったらあとは具体的な数字を入れるだけです。
例題
- 東京ー九州間の距離
- 缶ビール1箱の重さ
- 山手線一台に乗る乗客数
- ティッシュ一枚の厚み
- 赤ちゃん一人の年間オムツ使用枚数
セグメント
単位あたりの大きさも数量も状況によって変わるからなんとも言えないよ!!ってときにそれぞれの状況に分けて計算して、最後に足しあわせます。
例えばビールの年間消費量を推測しようとするとき、1人当たりの消費量を決めて国民一億人かけ算すればよいかというと、20歳未満の消費量は極めて少なかったり、20, 30代は子育て等もあって男性のほうが消費量が多いと予想されたりするため、精度が悪くなります。
このような場合に、場合分けをしてそれぞれのセグメントごとに精度の高い予測を立て、最後に足し合わせるのです。
頻出な軸で分類する方法
とりあえず頻出の軸で分類するのもケース面接では有効な方法です。
メリットは、早く回答できる、ステレオタイプな分類なので面接官も理解しやすい、などがあります。
デメリットは、考え方が古い、驚きがない、実態を反映しない分け方になることもある、などです。
頻出の軸としては、人口、国土面積、平均寿命、年齢、性別、平地面積割合、業務用家庭用、などです。
マスコミ関係者だと、f1層とか、年齢と性別で場合分けしたりすると思います。時代遅れな考え方といわれたりもしますがケース面接では極めて有効な分類です。多様化してきているとはいっても同じ年代の人のライフスタイルは似通ってますし、面接官も積極的に否定できないはずです。
ユースケースで分類を考える方法
まさに先ほどビールの例で考えたように、数量に差が出るのはどのようなシチュエーションか、ユースケースから考える方法です。
メリットは、軸を選んだエビデンスが明確なので説明がロジカル風になる、論点選びのセンスをアピールできる、意味不明なお題にも対応できる、次のケース面接にも活きてくる、などです。
デメリットは、ユースケースを考えている時間分回答が遅くなる、主観が入りやすい、などです。
例えば、「ドローンの市場規模を予測して」、というお題が出たとき、なんとなく年齢性別で分類することもできますが、各世代のドローン保有率を求める根拠がとても見つけにくく、なんとなく各世代○○%と仮定して人口かけて合計いくつです、くらいのつまらないことしか言えないことが予想されます。
こんなときに、ユースケースを考えます。
ドローンって何に使う?→配達、空撮、おもちゃ、競技とか→家庭用と業務用がありそう。
それぞれに使われるドローンにはどんな機能が乗っているか?→運ぶ、つかむ、見る、飛ぶ、操る・・・
その機能はどんなデバイスで発現している?→ロボアーム、センサ、プロペラ、マイコン・・・
この図を改めてみると工事用ドローンとかほかにもまだまだ用途はありそうだ!
こんな感じで考えていくと発想が広がって、MECEが難しいときにもある程度の網羅性を担保することができます。
ここでは抽象度の上げ下げという思考テクニックを使いました。これはアイデアだしの手段としても便利なので後日記事書いて紹介します。
ということで、セグメントとしては、
家庭用/業務用
おもちゃ/競技、空撮/配送/工事
といったものが抽出されました。あとはそれぞれ数値を予測して足し合わせるだけです。
こんな感じでフェルミ推定は考えます。
フェルミ推定の例
私が適当に解いた事例です。
tamagoyaki1999.hatenablog.com
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【知っておきたかった税金の話】開業届は出しとこう
こんにちは。久しぶりに外で運動したら火傷したみたいに真っ赤になりました。日焼け止め大事。
今回は開業届にまつわる失敗談です。
今年から個人事業始めました。化学技術に関するアドバイスサービスで、基礎知識に関する講習会、個別案件の理論考察、実験計画作り、評価系構築、お試し実験代行など、技術的な相談全般にお応えしてます。
お客さんもついて収入が入るようになったので、今年は青色申告だな!経費とか節税テクを学べるいい機会!とちょっとウキウキしてました。
で先日税理士事務所で働いている知り合いと飲んだときにそんな状況なんだよーと話したら
それ青色申告できないぞ。。
と一蹴。えっ、なんで?
青色申告で65万円控除されるために必要な手続き
・開業届
www.nta.go.jp
・青色申告承認申請手続き
www.nta.go.jp
これをやっておかなくちゃいけないらしい。
そして大事なことですが、締め切りがあります。
開業届は開業から1ヶ月以内
青色申告承認申請は開業から2ヶ月
となっており、これを過ぎると今年度は青色申告できないらしい。
そしてそれに気づいたのは開業日となりうるアドバイザー業務委託契約日から2ヶ月以内の最後の金曜の20時。
詰んだー!!と一瞬盛り上がりましたが、よくみると
2ヶ月後が土日の場合、その翌営業日が締め切りになるとの記載が!!
まにあうか!?
試しに開業届と青色申告申請書を締切日前の日曜日の消印で郵送してみました。
すでに開業届の締め切りは1ヶ月過ぎてますが、これを大目にみてもらえれば行けるか!?
結果が出たらまた記事書きます。
個人の力で生きるってどういうこと?
こんにちは。久しぶりにクラブ行きました。あれって人間関係にどんないい影響があってお客さんをそこに連れ回すんだろうか?
今日大学の先生と話して思ったことを書きます。
先端素材技術というのはこれまで世の中になかったものだった場合、
「誰も使い方がわかりません!」
って状況になってます。それは実は開発者もそうで、想定する既存顧客は当然いるものの、ほとんどの場合コストが合わず本採用されないため、初期段階では自身の想像力の外側の応用を見つけにいかなきゃいけません。
ということで、大学の先生と一緒にネタを考えながら用途開拓すべく大学で活躍中の同級生と話しにいきました。
本業のほうはそれとして、話は現状の愚痴に。
私も大企業の息苦しさにねをあげて転職したわけですが、その友人も大学職員の自由度のなさに相当フラストレーションためてました。
悩みの種は、
・大企業が100万円くらいしか出さないのに大学の研究員を使い、特許を独占し、大きな規模の事業になるアイデアを出すことを求めてくること。
・教授の選り好みが激しく自分に予算と学生が回ってこないこと。
・市場があるテーマをやるよう求められる。
など。
今まで資金の供給元だった国や大手企業がサラリーマンの論理で合理的、効率的かつ安全安心に運営されるようになった結果、大学のような本来リスクマネーが投じられるべき場所にお金を供給できなくなってきたという感触のようです。
サラリーマンの論理ではリスクがとれないことが最初に決まってます。
将来どうなるかわからないもの=自分の評価に繋がるかわからないものにリソースなんて投じられません。
10%くらいならリスクとってもいいかな?と思う人は大企業にもいます。
トップが10%リスクとる決断をして10%のリソースをリスキーなテーマに割り当てます。リスキーなテーマに割り当てられたマネージャーは、自身のリソースの90%を一年後の結果が見えて成果を主張できる安牌な仕事に割当て、残り10%でリスキーな仕事をします。10%の10%で全体から見たら1%のリスキーな仕事に割り当てられた担当者は90%を予測可能な仕事、10%をリスキーな仕事に割り当てます。
ということを上司から部下へ次々に渡していくと最終的にリスキーな仕事は限りなく0になります。
サラリーマンの論理はこんな感じの無限級数でできてます。
まあ、なんやかんやで今までのやり方だと大学側も研究資金が得られないんだそうです。
ではどうするか?
個人のパトロン見つけるしかないのかなー
という意見で一致しました。
私もかなりたくさんの方にお金以外も含めてご支援いただきながらやってますが、支援してくれる人はだいたい一緒に働いたことのある人です。
私のように家柄も肩書きもない人間は、仕事を通して信用を勝ち取って次のステップに進むという、地道な活動しかないなと。
【未経験からの戦略コンサルタント転職】自己紹介のやり方
こんにちは。夏休みのゆりかもめって混んでるんですね。
今回の未経験からの戦略コンサルタント転職は、面接の時に絶対最初に聞かれる、自己紹介についてです。
唯一のコツ
2分で話終える
面接受けるまでをさらっと書くと、
トイレに行って身支度を整える。
髪型、服装、口臭は要チェック。
→待合室で待つ。
社会人として適切な態度で待ちましょう。
→部屋に通される。
だいたい面接官は遅れて来るので外でも眺めながら待ちましょう。
→面接官入室。
ノックされた時点で起立して待ちます。入ってきたら「こんにちは。○○と申します。本日はお忙しいところありがとうございます。」とか言っておきましょう。名刺交換もアリです。新卒みたいにガチガチに緊張したり、普段やらないようなお作法に気を使う必要はありません。いつもお客さんや業者と接しているように、社会人として適切に行動しましょう。
→席に座って面接開始です。
といった流れです。
新卒採用のときは意味不明なお作法をしっかり守ろうと躍起になってましたが、もういい歳なので自分の知っている社会人としてあるべき対応でOKです。
自己紹介スタート
一番最初に一番大事なことを言いますが、
自己紹介は2分以内です。
2分以上は面接官の集中力が持ちません。残念ながらスタートからあなたに興味津々という人は少ないと思っておきましょう。
面接官からの問いかけ
たいていの場合、最初に自己紹介してくださいと聞かれます。
多少バリエーションはあって、
自己紹介してください、
今までどんな仕事をしてきましたか?、
あなたについて簡単には教えて下さい、
などがありますが、導入だけ変えて同じ事を喋ればOKです。
自己紹介で面接官がやりたいこと
1. 職務経歴書の確認
2. 最低限話せる人かどうかの判断
3. アイスブレーク
くらいです。コンサルタントともなると事前に職務経歴書を熟読してくることは、半分以下でした。
会社の昇進面接を思い出せば、一生懸命書類書かされたのに面接官が今読んでる、っことあったと思いますが、そんなもんです。
熟読してきた人には二度手間になるし、読んでない人にはいきなり大量の情報インプットしようとしても何も理解されません。
なので、2分くらいの時間で最大3つ、なんなら一個何かが伝わればいいやくらいの意識で話しましょう。
2分です。
自己紹介で喋るべきこと
3つだけです。
1. 名前
2. 経歴
3. 仕事内容の要約
自己紹介は職務経歴書のおさらいの時間です。職務経歴書を見せながらやってもいいくらいです。
新卒のときは部活経験とか一生懸命喋ったと思いますが、あれは仕事経験がない中で話のネタ見つけなきゃいけない苦肉の策だったと思いましょう。
中途のみなさんは自身の仕事を自信もって話すのが一番いいです。
仕事内容は要約です。繰り返しますが2分以上は面接官の集中力が持ちません。それ以降は何を喋っても面接官は理解せず、なんなら前に喋ったことも忘れると思いましょう。
その他
4. 出身地
5. 趣味
6. 特技
7. 資格
8. ボランティア経験
いろいろありますが、必須ではないです。
相当インパクトのある経験なら印象良くなると思いますが、相手はコンサルタントなのでちょっとすごいくらいはコモディティです。
君は戦略コンサルタントかもしれないが私の業界の現場を真に知ってはいないでしょう。上からは見えない現場力を見せてあげましょう、くらいのノリで話しておきましょう。
テンプレ
私はこれまで●●株式会社で働いてきまして、○○(仕事のタイトル)と△△と□□をしてきました。
○○は〜〜という仕事で、〜〜という成果を出しました。
△△は〜〜という仕事で、〜〜という成果を出しました。
□□は〜〜という仕事で、〜〜という成果を出しました。
といったところでして、一言で言えばXX(キャッチフレーズ)をやってきた者です。
御社ではZZに取り組みたいと思っております。
自分の例
私はこれまで●●株式会社で10年働いてきまして、やってきたことはざっくり3つ。
R&Dと、新規事業企画と、本社スタッフ業務です。
R&Dでは、新技術を作って特許をX件出願しました。
新規事業企画では、アイデアだし、技術フィージビリティスタディ、マーケットリサーチをして、提案するような仕事をし、今はその提案が研究所のテーマとして採択されています。
本社スタッフとしては、○○の施策を企画し、○○人の参加者があり、○○の効果があったと好評をいただきました。
といったことをしてきてまして、新しいことに挑戦し続けている人間です。
次は御社で○○に挑戦したいと思い、今回はこのような機会をいただきました。
よろしくお願いいたします。
リラックスして自然にこなしましょう。
【未経験からの戦略コンサルタント転職】職務経歴書の書き方
こんにちは。昨日雨降ったせいか気持ちすずしくなりました。
今回の未経験からの戦略コンサルタント転職は、通る職務経歴書の書き方についてです。まず主張したいのは、
職務経歴書は自分を企業に売り込むためのパンフレットです。
どういう表現をしたら自分という商品の価値が伝わるかを一生懸命考えましょう!
嘘はNGですが多少の誇張はOKです。チラシなので謙遜しないほうがいいです。
応募に必要な書類
中途採用に応募するには、履歴書と志望動機書、そして職務経歴書が必要になります。
履歴書は言うまでもないですね。志望動機書は志望理由を最大A4一枚くらいに書いたもので、新卒採用のときに書いたエントリーシートみたいなノリのものです。
そして職務経歴書。これはこれまでどんな仕事をしてきて、自分にどんな能力があって、それがどう貢献に繋がるかをまとめた書類です。
職務経歴書の役割
その人の能力、実績、キャラクター(志向)を伝えるものです。
職務経歴書には基本的には、
自分はこれができますという宣言 → 実際にやったこと → 成果
という流れで記載します。
何をできますというかでその人のキャラクターが決まります。
例えば、あなたは営業部員で、本社から新製品を売るよう指示が来たとします。所属する営業部でどのお客さんにどう売るか議論し、チームメンバーに役割が割り振られ、それぞれが役割を実行した結果、あなたは担当のお客さんに1億円の商品を売ることができたとします。
この場合に、あなただったらどんな能力をアピールしますか?
- 私は営業力があります → 担当顧客10社に新商品をうまくアピールしました → 1億円売れました
といえばお客さんとの交渉力が高いのだろうな、ということが伝わります。
- 私にはマーケティング力があります → 新製品について顧客ニーズと有望顧客をリサーチし、1億円の売上予測を立てました。 → 想定通りの顧客へ新製品を販売することができ、予測通り1億円の売り上げを上げました。
といえばマーケットリサーチ力が高いと判断されるでしょう。
こんな感じで、同じ作業・結果だとしてもどう言うかで相手の印象は変わります。
どの視野・視座・視点で職務経歴書を書くかよく考えましょう。
希望職種が現職と全く違ったとしても、共通点をなんとかひねり出して、自分がこれまでやってきた仕事は次の仕事でも役立つんですよ!と主張しましょう。
人事は職務経歴書の内容でその人の能力を判断します。企業の人事は、職務経歴書に書かれた能力が応募者にあると一旦信じて、その能力が会社が求める能力であれば応募者を面接に呼びます。能力がすごいかどうかではなく、その会社のニーズに合っているかどうかで書類を通すかどうかを決めます。
なので、自信のある能力をドヤるより、会社が求めていそうなことに忖度したほうが得だと思います。
また、面接で応募者にどんな能力があるか掘り出すようなことはあまりしません。一応、これまでやってきた仕事を紹介することを求められますが、これは職務経歴書の内容が盛りまくったものでないことの確認か、アイスブレークのためにやっているものと思います。面接では社風とのマッチング、対人能力、頭の回転の速さを見ていることのほうが多いように思います。
職務経歴書の構成
- サマリーA4 1枚
職務要約:どこで何をしてきたか、これまで携わった仕事内容をざっくりまとめましょう。
能力:自分という商品の特徴・強みを箇条書きで表現まとめましょう。
実績:能力があることを裏付ける事実を書きましょう。
資格・学歴:応募先の仕事に役立ちそうな資格や学歴を持っていたら書きましょう。
その他アピールしたいこと:仕事に役立たないかもしれないけど、誰もがすごい!と思う何かを持っていたら話のネタ程度にアピールしてもいいかもしれません。
- 職務経歴詳細 (最大でA4 4枚くらいですかね)
所属会社、所属時期、会社の概要:事実を嘘偽りなく書きましょう。
仕事のタイトル:どういうジャンルの仕事をしたか、一般的な言葉で表現しましょう。
仕事の概要:自分のやった作業と成果を一言で表現しましょう。
仕事の内容:作業内容を客観的に書きましょう。全部書くと長くなるので自己PRにつながる要素だけでOKです。
成果:客観的な成果を書きましょう。できるだけ定量的に。チーム全体の成果と個人の成果を分けて書くのも効果的です。
発揮したスキル:そこで発揮したスキルを列挙しましょう。自己PRにつながるものだけでOKです。
チームメンバーとポジション:どのくらいの人数規模の仕事をしたのか、どのような職責だったか。
【未経験からの戦略コンサルタント転職】中途採用でもなまけちゃいけないWebテスト対策
こんにちは。
先日の転職活動で10年ぶりにWebテストうけました。
訳あって出来はボロボロでしたがなんとか通過。
今回はその体験談を書きます。
なんのテストが出るか調査
Webテストは代表的なものが3種類あります。
SPI, 玉手箱, TG-WEB。ほかにもあるらしいですが、忙しい転職活動ではこの3つを最低押さえておきましょう。
これらテストでは、正答率、正答数どちらも評価されます。
正解すると難易度の高い問題、誤答すると難易度の低い問題が出題されるようになってます。
最後まで解答したときに自分がどの難易度にいて、何問残したかで合否が決まります。
それぞれ問題には傾向がありますので、自分がなんのテストを受けるかを正しく把握して対策しましょう。
テストの種類の調べ方ですが、確実な順に、
- 募集要項を読む
- エージェントに聞く
- ネットで調べる
です。この順番を絶対に守ってください。
必要なツールをそろえる
受けるテストが決まったら以下をそろえましょう。
- PC
- ネット環境(できれば有線LAN)
- 鉛筆
- 紙
- 時計
- 電卓
あったら便利なアイテム
- 数字キーボード
対策本で勉強
中学まできちんと勉強したよ!って人
ちょっと勉強すれば解き方は思い出せます。問題はスピードです。スピードアップの最大のコツは、慣れることです。ぱぱっと問題集を一冊仕上げて本番に臨みましょう。
運悪く若かりしころ勉強をサボってしまった人
ちょっとだけ時間かけて勉強しましょう。問題を解く力の無い人ほど受験テクニック駆使すると劇的に点数上げられます。
- 数理問題対策:
適当な問題集を買って、テスト一回分を繰り返しひたすら解いてください。たとえ答えを覚えてしまっても構わず、毎回計算をキチンとして、覚えてる答えと同じ答えが出ることを確認しましょう。解き方も答えも完璧に覚えちゃったよってとこまでやったら、問題集の残りを適当にこなして本番に臨みましょう。
- 言語問題:
唯一のテクニックは、選択肢の根拠が問題文にあるか照らし合わせることです。雰囲気で答えてはいけない。なんか違う気がすると思う選択肢でも、本文に同じことが書いてあったら正解です。逆に常識に照らし合わせて正解だと思っても本文に書いてなかったら不正解です。この考え方になれるまでいろんな種類の問題を解いてください。
本番の環境を整える
対策が完了したら本番を始めましょう。
- 安定したネットワーク環境、
- 広く整頓された机、
- 筆記用具、電卓など、
- 物理的な環境を整えたら、
- 同居人にテストやるから話しかけないよう言う、
- 携帯の電源切る(メールとかついつい気になっちゃう)、
- トイレに行く、
これらを最低やっておきましょう。
本番
- わからない問題は潔く速やかに捨てる。
- 捨てた問題に想いを馳せない。
- 時間いっぱい諦めない。
- 落ち着いて、背伸びせず、できることに集中する。
- 数理テストと言語テストの間はしっかり休憩する。なんなら次の日にやる。
これでOKです!
体験談
結局一社しかWebテスト受けなかったですがその体験談を。
調査
企業からWebテストの案内が届いた。テスト内容は記載されていない。
ネットで調べるとどうやら判断推理とGMATみたいな問題が出るらしい。
勉強のためにそれぞれブログでお薦めされている問題集を買った。
準備
判断推理はパズルみたいなもの、GMATは英語の読解問題のようなので、判断推理のために方眼紙とペンを揃えた。
勉強
どちらもなかなか難しいが判断推理は問題集を二周やり、問題集に書かれている解法は丸暗記した。高得点を狙える自信はかなりある。さらに万全を期すために方眼紙にあらかじめアルファベットや数字を書き込み、解法のカンペも作った。
そんなことをしていたらGMATの勉強時間がなくなったのでこっちはぶっつけ本番でいくことに決心した。
環境を整える
自宅には2歳の子供がおり、とてもじゃないがWebテストなんて受けられる環境ではないので、ネット喫茶で受験することにした。
タバコ臭く薄暗い個室でPCを立ち上げ、
エネルギーを出すためにリアルゴールドを飲んだ。
テストが終わったらマンガ読んで帰ろう。
方眼紙とカンペを机に広げ、さぁ準備は整った!いざテスト!
本番
メールで送られてきたURLを開き、ユーザー名、パスワードを入力した試験画面を立ち上げる。
するとそこには数理問題の言葉が!!
いやいや、判断推理って要は算数の問題だからね!こういう表現にもなるよね。
練習問題を開く。
昔に見たことがある円グラフが出てきて、1994年の日本の輸出総額はいくらかと聞いてきた。
理解した。
これSPIだ。。
あれ?どうしよう?まあ、自分エンジニアなんでいけるっしょ?とりあえず始めるか。
5問くらい解く。
あ、これ手計算じゃ追い付かない。やばい。
そこで今日最大のファインプレー、
スマホに電卓入ってるじゃん!!!!
急いで電卓を立ち上げ問題に戻る。
無駄に手計算した時間と電卓探した時間を取り戻すべく焦りながら雑にどんどん問題を解いていった。
終了。当然全部解き終わらなかったし、わからない問題すらあってへこむ。
そのまま言語問題に進む。
当然問題の解き方を思い出しながらのテスト。10分くらい経ってからようやく慣れてきたが結局全問解き終わらなかった。
Industrie 4.0 調べてみた その8 〜化学産業の将来像を考察〜
こんにちは。
これまで⻑々連載させていただきましたが、やっと最終回です。
まず、前回までのおさらいです。
第⼀回:世界各国でこれからの製造業界のあるべき姿、特にIoT、ロボット、AI技術を取り込んだ製造業の姿を考え始めてるよ。
tamagoyaki1999.hatenablog.com
第⼆回:Industrie4.0は製造業を細かくモジュール化しようとしてるよ!
tamagoyaki1999.hatenablog.com
第三回:モジュール化すると性能上がるわ価格は下がるわでユーザーメリットが⼤きいよ!
tamagoyaki1999.hatenablog.com
第四回:⾼付加価値領域と低付加価値領域の組み合わせで製品アーキテクチャを設計し、⾼付加価値領域を⾃社でクローズし、低付加価値領域を新興国に任せるという、グローバル斜形分業が⼤事だよ!
tamagoyaki1999.hatenablog.com
第五回:管理シェルはコンポーネントをモジュール化しネットワークに接続するためのもので、デジタルツインは現実世界の各コンポーネントをデジタルで再現するためのものだよ!
tamagoyaki1999.hatenablog.com
第六回:管理シェルとデジタルツインを組み合わせると、製造業をコーディングできるようになるかも!
tamagoyaki1999.hatenablog.com
第七回:新興国でモノを作って売る、先進国はプラットフォームを提供して世界のGDPからちょっとずつマージンを引き抜く、そんな新しいグローバル分業の形が現れ始めているよ!
tamagoyaki1999.hatenablog.com
今回は、 これまでの話を統合して、これからの製造業の有り得る姿を考察します。(実現へのハードルの⾼さは無視しますね)
⼀例として、上図のような世界を想像しました。
ユーザーは製造サービスプラットフォームから必要なサービスを選び、
各サービスの詳細をプログラムすることで、
⾃⾝の実現したい製造プロセスをサイバー空間で組み⽴てます。
これを実⾏すると、サイバー空間上で構築された製造プロセスが、現実空間で再現され、製品がアウトプットされます。
例えば、ある起業家Aさんが、独⾃組成の樹脂を⽤いた⾯⽩いプラスチック成型品ビジネスを思いついたので、製造サービスプラットフォームから、樹脂合成サービス、成形サービス、物流サービス等を選び、⾃⾝のアイデアをプログラムに書き起こし実⾏しました。
このとき、プログラムに記述するのは、「どういう樹脂を合成する」、「どういう成形加⼯をする」、「どこに届ける」という感じの、製品仕様に関わる情報くらいです。
すると、Industrie4.0コンポーネントとして登録されている樹脂合成企業群、プラスチック成形企業群、物流企業群からラインの空き状況が⾃動的に確認され、最⾼効率なサプライチェーンと加⼯スケジュールが⾃動⽣成され、製品が製造されます。
起業家Aさんは、合成、成形、物流など、各⼯程の現場で何が起こっているか知識もなければ感知もしませんが、製品を⽣み出すことができました。
これまでは製造業を営むには、⼤きな資本をもって⾃社⼯場を経営するか、サプライチェーンを構築するためにパートナー企業を探して現場を巡る必要がありました。
製造サービスプラットフォームを使えば、そういった障壁は取り除かれます。
さらにスケールアップもプログラムを書きかえるだけで柔軟に対応できるため、少量のテストマーケティングから⼤量⽣産までシームレスにスピーディに移⾏できます。
こんな世の中になったらワクワクしませんか?
Webの利⽤コストが劇的に下がったことでアイデア勝負のITベンチャーが⼤量発⽣したように、現時点では初期投資が⼤きく⽐較的成功しづらいと⾔われるモノづくりベンチャーが⼤量発⽣するようになるかもしれません。
こんな世の中を実現するためにはどうしたらいいでしょうか。
スマート⼯場のモデルとなるマザー⼯場が誕⽣
⼯場内の設備、⼈、在庫、サプライチェーンとの連携などのデジタルツインを実現、全⾏程をデジタルで再現できるようにします。
デジタルツイン技術をベースに、管理シェルを設計し、各⼯程をモジュール化します。
モジュールの組み合わせで構成されたマザー⼯場が誕⽣します。
Industrie4.0コンポーネントとしてのスマート⼯場を普及させる
IoTやロボット技術を駆使したスマート機器で構成された、管理シェルによって規格化されたスマート⼯場を普及させます。(スマート⼯場は標準化されたコモディティです)
この際、スマート⼯場のモデルとなるマザー⼯場がどこかにあることが想定されます。
マザー⼯場では、スマート⼯場群から上がってくるデータを集約し、スマート⼯場の管理・運営・保守、⼯程の改善、新⼯程の研究・開発などを⾏います。
⼀⽅、スマート⼯場群はオペレーション業務のみを⾏います。
マザー⼯場は⼀企業が所有するかもしれませんし、標準化団体が所有するかもしれません。
スマート⼯場群を⽤いてモノづくりをするのは、⼈件費、物流コスト、税制、国内市場サイズなどを考慮して、最も安くモノづくりできる企業でしょう。
スマート⼯場普及の際にも、プラットフォーム獲得競争が起こることが予想されます。
第四回で紹介したPCのビジネスモデルのように、だれかがスマート⼯場の基幹部品とリファレンスデザインを組み合わせたプラットフォームを提案して、デファクトスタンダードを獲得するかもしれません。
そのとき、基幹部品となるのがIoT化したスマート機器のようなものかもしれませんね。
コモディティ化したスマート⼯場と、それらの進化を制御するマザー⼯場という構図ができたとします。
スマート⼯場を束ねるプラットフォーマーが誕⽣し、プラットフォームを活⽤するユーザーが出現
歴史的に、ある製品がコモディティ化すると、その上位レイヤーにプラットフォームが出来上がります。
PCが普及したらその上位レイヤーにクラウドサービスが出現しました。
スマート⼯場もコモディティ化したのちは、共通のIT基盤上で管理・運営されるようになると考えられます。
さらに、IT基盤の汎⽤性が⾼まるにつれ、広く広くIT基盤とスマート⼯場が公開されるようになり、それを利⽤するユーザーが出現してくるでしょう。
ユーザー、プラットフォーマー、スマート⼯場群、マザー⼯場、スマート機器(基幹部品)メーカー、といったプレーヤーが揃うころには、新しい⽔平分業の形が出来上がっていると考えられます。
プレーヤーは誰になる?
- ユーザー:技術への理解がなくともモノづくりができるようになるため、ベンチャー企業、商社、メーカー、広告代理店、IT企業など多業種からの参⼊の可能性があります。
- 製造プラットフォーマー:ここはITシステムになるので、メーカー系プラットフォーマー(GE,Siemensのようなところ)とIT系プラットフォーマー(Amazon, Google, Intelなど)の参⼊が考えられます。メーカーはモノづくりの強みがあるうちに⾏動したほうがいいかもしれません。GEはモノづくりのノウハウの強みがある今なら、GoogleやAmazonに取り込まれずに済むと考え、独⾃ITプラットフォームのPredixを作ったそうです。IT系プラットフォーマーはモノづくりのノウハウを何とかして取り込もうとしてくるでしょう。(以前記事を書きましたが、AIの知財もその⼿段になるかもしれないと思い怖いなと思ってます。)
- スマート⼯場(Industrie 4.0コンポーネンツ):メーカー。ここはマスプロにもマスカスタマイゼーションにも対応するために、相当安価な企業が参⼊する必要があります。そのため、⼈件費、税制等で、とにかく安く作れる企業が⼊るでしょう。技術⼒は、マザー⼯場を持つ企業から供給されるため⼼配無⽤です。
- マザー⼯場:既存のリーディングメーカー企業。技術⼒、政治⼒、資本⼒、経営⼒などのある企業が先導するのではないでしょうか。Boschはもうスタートしています。オークマなど、⽇本でもスマート⼯場化へ踏み切る企業は現れています。もしある先進企業の技術でマザー⼯場ースマート⼯場群の構図が出来上がると、その技術や標準に関わらない企業は、先進企業の技術で武装した低コストなスマート⼯場群との競争にさらされます。
- スマート機器:機器メーカー。(知識不⾜でここまでは想像⼒が働きません。。)
ビジネスモデルは?
このような⽔平分業を構想したときに、第六回で考察したように、どこを⾼付加価値化及び低付加価値化し、それぞれ誰に担当させるか、というパイの奪い合いが起こるでしょう。
⼀番簡単な構図としては、まずスマート⼯場群が低付加価値化し、途上国に普及します。プラットフォーマー、マザー⼯場、スマート機器メーカーは途上国の成⻑から何らかの形(利⽤料、保守、機器販売など)マージンを獲得します。また、ユーザーはスマート⼯場群を利⽤してカスタム製品を安く⽣産し、ハイエンド市場で利益を上げます。
このように、この世界観全体のスケールでもパイの取り合いは起こるでしょうし、マザー⼯場とスマート⼯場の関係の中や、スマート機器とマザー⼯場の関係の中のような⼩さい枠組みでも起こるでしょう。
いずれにしても、優位なポジションを獲得するのは、最初にエコシステムを描いて周りのプレーヤーを先導する企業です。
仮にこんな世の中になったとしたら、どのポジションにいたいですか?
今回考察した将来像は、世の中の動きを調べた結果私はこう思いました、というものなので、ほかにも可能性は無限にあるとは思います。
いくつもシナリオを想定して、それぞれに準備しておくことが重要だと思います。
Industrie 4.0 調べてみた その7 〜GEのビジネスモデル〜
概要
社内のITプラットフォームを世界のモノづくり企業に売るよ!
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こんにちは。
前回は、Industrie4.0は製造業のモジュール化を⽬指している、それが進むと製造業をプログラミングする時代が来るかも!?という話をしました。
今回は、グローバル分業の新しい姿になるかもしれない、GEのビジネスモデルの話です。
ちなみに、みなさんGEって何をやっている会社かご存じでしょうか?
私は最近初めて何やっている会社か聞きました。
www.itmedia.co.jp
昔はいろいろやってたようですが今は、
エネルギー・輸送・医療領域に明確にポジショニングし直したそうです。
上の写真はGEのビジネスの歴史です。
ʼ80年代:⼤型機器の販売と修理
ʼ00年代:⻑期保守契約に基づくサービス業。機器にセンサを⼊れて稼働状況をモニタリング・分析し、適切なタイミングで保守作業を⾏う。(これがジェットエンジン販売×メンテナンス×ファイナンスによるビジネスモデル。 この話もとても⾯⽩いですが、今回は割愛。)
2012年以降、「ハードウェア主体のテクノロジーカンパニー」から「ハードウェア+ソフトウェアによるソリューションカンパニー」へと変⾰するために、2012年以降、シリコンバレーにソフトウェアの研究所を設⽴したりとソフトウェアに多額の投資をしました。
そのソフト部隊がまず⼿始めに作ったのが、社内共通ITプラットフォームであるPredixだったそうです。
近年:アナリティクスによる⽣産⼯程全体の効率化。(インダストリアルインターネット)
GEはジェットエンジン、電⼒、医療など分野の違う仕事をしていますが、基本戦略はいずれも似たような感じで、
①スマート機器(エンジン、タービン、MRIなど)の販売&メンテ
②スマート機器をきっかけにシステムの最適化
③オペレーションや運営の最適化という感じで、だんだんとお客さんへの影響⼒を強め、サービスの幅を拡⼤しています。
このようにスマート機器販売からアナリティクスへと幅を広げていく中で、Predixという社内向けITプラットフォームも洗練されました。
ここらへんで、
Predixを外販してもいいんじゃない!?
と気づきます。
新しいグローバル分業の姿が⾒えてきます。
前の話に戻って、PCのときのグローバル分業は以下のような構図でした。
アーキテクチャの中の⼀部の部品に付加価値を集中させ、先進国が⾼付加価値部品(≒⾼価格部品)でビジネスをし、新興国が低付加価値部品(≒低価格部品)でビジネスをするという分業になっていました。
新しいグローバル分業の姿として想像できるのは、
全部の部品が低付加価値化し(結果的に最終製品も低付加価値化)、
その代りに全部の部品関わるようなプラットフォームが存在するという構図です。
モノづくりは全部新興国に任せて、モノ⾃体には価値(価格)を乗せません。その代り、新興国企業がモノ売りで上げる利益からちょっとずつマージンを集めます。
⾔わんとすることはわかるけど、これ成り⽴つ?と思うかもしれません。
少なくともGEは1%の効率化を実現するプラットフォームをグローバルに展開することで相当⼤きな売上が上がると想定しているようです。
Boschも製造プラットフォームサービス事業をスタートしています。(AWSやPredixのようなプラットフォーム提供というよりSIerかな?)
- ステップ1:⾃社⼯場をIoTやロボットによりスマート化し、出来上がったスマート機器や培った知識を製造プラットフォームという形に落とし込みます。
- ステップ2:製造プラットフォームを外部へ提供。提供先のイベントデータは⾃社マザー⼯場に集約し、テクニカルサービスやプラットフォームの価値向上などに利⽤。
- ステップ3:製造プラットフォームの汎⽤部分を切り出して、⾃社のポートフォリオ外の事業会社へサービスを提供。
確かに、世界経済のバランスがここ30年で⼤きく変わってきているので、ありうる気がしています。
⼀昔前は世界のGDP総額のほとんどを先進国で占めていたので、⾼価格な商品を⾼いシェアで先進国に売るというビジネスモデルは合理的だったと考えられます。
これからは単価の超安い製品が新興国中⼼に超⼤量に出回ることでGDPが成⻑していくシナリオも考えられます。(要検証)
先進国で超安い商品を超⼤量に⽣産してグローバルに展開することが合理的かはわかりませんが、
もし、⾮合理的だったらどうするか?
現在、多くの企業はまだまだモノに⼤きな価値があるヘルスケア領域に注⼒していますね。⾼く売れる商品がなくなってきたから、新たに⾼く売れる商品を作ろう!という戦略です。
それ以外にも何かある?あるいはそれすらコモディティ化したらどうする?と聞かれた場合に、
上記のような薄く広く集める戦略も成り⽴ちそうな気がします。
「世界の経済成⻑から1%のマージンを引き抜く」
そんなビジネスモデルを考えても⾯⽩いかもしれません。
Industrie 4.0 調べてみた その6 〜製造をプログラミング?〜
概要
モジュール化 × デジタルツイン = 製造プロセスのコーディング?
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こんにちは。
前回は、IoTと管理シェルでモジュール化をしますよ、それからそれぞれのモジュールのデジタルツインを実現しますよ、という話でした。
モジュール化 × デジタルツイン で⾯⽩い世の中が想像できます。
それは、製造プロセスのコーディング(プログラミング)です。
オブジェクト指向の、クラスとインスタンスに対応する現実世界の物事をモジュールとコンポーネントとここでは表現します。
オブジェクト指向のプログラムのように、各モジュールに対応するクラスを定義することができます。
そして、クラスに対応した管理シェルをかぶせることで現実のモノはモジュールとなります。
例えばデジタルでRobotArmというクラスを定義し、対応する管理シェルを現実のロボットアームに搭載すれば、そのロボットアームはIndustrie4.0モジュールになります。
このとき、そのロボットアームがFANUC製だろうが三菱電機製だろうが関係なく、デジタル上では同じクラスとして扱えるようになります。
その状態で、コード上でRobotArmクラスのインスタンスを宣⾔すれば、現実世界のロボットアームがコンポーネントとしてアサインされます。
さらに、宣⾔したインスタンスに命令を与えると、対応するコンポーネントであるロボットアームによる加⼯が始まります。
上の図の例でいうと、RobotArmクラスのroboArmインスタンスを宣⾔し、プリント基板を加⼯してという命令drill(PCB)をroboArmインスタンスに与えます。
すると、現実世界でRobotArmクラスのモジュールだと管理シェルによって定義されたロボットアーム群のいずれかが、roboArmインスタンスに対応するコンポーネントとして、ドリル加⼯を始めるということになります。
ロボットアームのような装置を例にしましたが、Industrie4.0の思想ではモジュールの区切り⽅は装置に限りません。
複数の装置が接続された制御盤やシステム全体、ライン、部署、会社、いずれもそれぞれに適切な管理シェルが被さり、モジュールとして認識され得ます。
例えば、繊維クラスのインスタンスを⽣成したとき、現実では旭化成や東レなどの繊維会社がコンポーネントとしてアサインされるイメージです。
ロボットにある加⼯をしなさい、という命令をプログラムすることもあれば、会社に製品を作るようプログラムすることもあるでしょう。
こういう概念は参考資料に明確に書かれていました。
これだけだと普通じゃん!という感じなのですが⼤事なのは、管理シェルで個性が消されているので、世界中のどのロボットアームがアサインされてもいいということです。
とすると例えば、⽣産技術を横展開しやすい、企業間連携がスムーズになる、などいろいろな解釈ができます。
⼀例に、サプライチェーンについて考察してみます。
現状、各企業が独⾃のサプライチェーンを作って商品を⽣産しています。例えばプラ製品を考えたら上図のような感じですね。原料サプライヤーを変更したら製品に不具合が出たという話はよく聞きますので、如何に安定、安価なサプライチェーンを作るかが競争⼒にもなっているかと思います。
この場合は、同じ加⼯をしようと思っても業者を⾃由に選べるわけではありません。
管理シェルによって各企業の個性が消されると上図のようになります。どこから調達してどこに供給してもよくなります。
加⼯の命令が打ちこまれると、どこかのキャパに余裕のある企業が⾃動的にアサインされ、命令に対応します。標準化されているのでそうしても不具合は起きません。
というように、⽇本の事務所のPCで1⾏コードを打ち込むだけで、⾃社内に限らず世界のどこかにあるIndustrie4.0コンポーネントが動いてモノを作ってくれるようになるかも。
夢が広がりますね!
Industrie 4.0 調べてみた その5 〜管理シェルとデジタルツイン〜
概要
モジュール化するためにIoTや管理シェルという概念を導⼊するよ!
デジタルツインは現実世界をデジタル世界にコピーすることだよ!
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こんにちは。
前回、前々回では、PC市場では、モジュール型の製品アーキテクチャを作り、グローバル斜形分業すると利益が⾃社に集中しました!という話をしました。
話をIndustrie4.0に戻して、
製造業のモジュール化の⽅法論としての管理シェルと、
モジュール化を最⼤限活かすデジタルツイン
という概念についてです。(参考)
そういえばモジュール化ってなんですかね?
左は⽯垣で、右はレンガです。
左は不定形で、右は定形です。
左はアナログで右はデジタルです。
左は⽯選びと隣り合う⽯との相性が重要で、右はその辺気にする必要がありません。
左は⽯と⽯の間のつなぎ合わせに⼩さいこれまた不定形の⽯を使い、右はレンガとレンガの間は全部同じセメントで固めています。
左は摺合せで右はモジュールの組み合わせです。
モジュール化の要件として、
- コンポーネントの形が決まっていること
- コンポーネント間の接続⽅法が決まっていること
がひとまず必要そうです。
Industrie4.0でもこれらを決める必要があります。
コンポーネントの形は、リファレンスアーキテクチャでなんとなく決めました。
コンポーネントの具体例としては、装置、⼈、部署、会社、設計、製造などのアーキテクチャの軸上のものだったり、設計会社、製造職⼈など交点にあるものなどがあります。
モジュール化のための管理シェル
次はコンポーネント間の接続⽅法ですが、ここでIoTや管理シェルという概念が導⼊されます。
ここでの接続とは情報の接続を意図しています。
コンポーネント間で情報をやり取りするには、情報のフォーマットをそろえる必要があります。
現実としては、コンポーネント間で情報のフォーマットが⼀定でなかったり、そもそも情報を吐き出すようにできてないコンポーネントも多々あると思います。
なので、
①情報を吐き出さないコンポーネントには情報を吐き出す仕組み、
②情報のフォーマットをそろえる仕組み、
が必要となります。
①のためのIoT&ロボット
例えば装置にセンサを埋め込むことで、センサ情報によって装置を監視することができますし、⼈⼒作業をロボットに置き換えることで情報を発信するようになります。⼈にウェアラブルをつけても情報を発信するようになりますね。
②のための管理シェル
管理シェルとは、コンポーネントの上に被せてコンポーネントの情報を整えたり、コンポーネント間のコミュニケーションをしたりする機能のことです。
- 個々の機器からのデータをIndustrie4.0仕様に修正
- コンポーネント間を共通規格で通信
個々の機器の差異は管理シェルによって平準化・規格化されるため、ネットワーク上では同⼀規格品として⾒えるため、相互に接続可能となります。
例えば、FANUCのロボットアームも三菱電機のロボットアームも同じものとして扱えるようになります。
それらIndustrie4.0コンポーネント同⼠は管理シェルをインターフェースとして接続可能になります。
管理シェルの実態は、ゲートウェイかもしれませんし、ソフトウェアかもしれません。組み込みデバイスかもしれませんし、後付デバイスかもしれません。センサ込かもしれませんし、データ変換のみかもしれません。マネージャーかもしれませんし、社⻑かもしれません。
現時点ではそういう感じのものという概念で、⽴場や状況によって解釈や実現⽅法は変わると思います。
ちなみに、モジュール型のアーキテクチャになった場合、各コンポーネントは管理シェルが管理できない動きを許容されなくなるはずなので、管理シェルにぶら下がるハードウェアや組織などは独⾃の特徴を出すことができなくなる可能性がありますね。
モジュール化するための⼿段としての管理シェル、なんとなく雰囲気伝わりましたでしょうか?
デジタルツインとは?
このツインとは双⼦という意味のツインです。装置等の現実世界のコンポーネントをデジタル世界で再現しようということです。
世の中でシミュレーションはたくさんやられていますし、近年流⾏りの機械学習で予測モデルを⽴ててもいいでしょう。⼿段はどうあれ現実世界のコンポーネントをデジタルで再現します。
GEのエンジンの写真なんかは見たことがある人もいるでしょう。
あるいは、モーションキャプチャでディスプレイの中の棒人間がリアルな人と同じ動きをしているのもデジタルツインと言っていいでしょう。
視覚的な表現だけでなく、現実で起こっていることが表されているならグラフでも表でもなんでもいいと思います。(画像も座標とRGBの多次元ベクトルという数字で表現もできますしね。)
ここまでをまとめると、
- 管理シェルはコンポーネントをモジュール化しネットワークに接続するためのもの
- デジタルツインは現実世界の各コンポーネントをデジタルで再現するためのもの
このコンポーネントのモジュール化とデジタルツインが組み合わさると、ちょっと⾯⽩い世の中が想像できるようになります。
Industrie 4.0 調べてみた その4 〜国際斜形分業モデル〜
概要
モジュール型アーキテクチャが描けたら、「⾼付加価値モジュール」と
「低付加価値モジュール」を定義しよう!
「⾼付加価値モジュール」は⾃社で押さえよう!
「低付加価値モジュール」は低コストで誰かに⽣産してもらう仕掛けを⽤意しよう!
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こんにちは。
前回は、パソコンのアーキテクチャをモジュール化して、各モジュール内で競争を起こせば性能は上がるし、モジュール単価は下がるしで、結果的に⾼性能な製品が安く⼊⼿できてユーザーがハッピー、まで話をしました。
でもそれじゃあモジュールメーカーがハッピーじゃない!ということでグローバル斜形分業が出てきます。
グローバル斜形分業
グローバル斜形分業の肝は、
製品アーキテクチャの中に付加価値の低い領域を作って、そこを新興国にやらせようぜ!
です。
前述したようにPCアーキテクチャはインテル主導の中間⾼速バス⽅式に移⾏しました。
ちなみに新しいPCアーキテクチャを部品メーカーが主導したというのはすごいことですよね。
そして、新しいバス⽅式の普及に重要な働きをしたのが台湾企業です。
台湾企業がインテルのチップセットを搭載したマザーボードを⼤量に⽣産し市場に供給しました。
さらにインテルは、リファレンスデザインという、PCのお⼿本のようなものを販売することで、PCアセンブリメーカーの参⼊障壁を下げる仕掛けも⽤意しました。
当時新興PCアセンブリメーカーだったDellやGatewayは、このインテルのチップセットが載ったマザーボード台湾から買い、CPUとリファレンスデザインをインテルから買い、PCを組み⽴てることでインテルインサイドなPCを普及させていきました。
この時のインテルのビジネスモデルは、
①安価なチップセットを台湾メーカーに供給することで市場を拡⼤し、
②⾼価なCPUを先進国のPCアセンブリメーカーに供給することで利益を得る、
という2⾯市場戦略です。
さらにインテルはマザーボードの標準規格(ATX規格)も策定し、台湾企業が安⼼して設備投資できる状況を整えました。
台湾企業としてもインテルの標準に乗っかっるかどうかは経営判断ですからね。標準技術を公開することで新規参⼊企業の技術的な不安を低減したものと思います。
結果論としては、台湾メーカーも規格品の⼤量供給という競争ルールの変化に対応し、⼤きく成⻑しました。
インテルと台湾企業の間でWIN-WINの関係が構築されています。
このように、モジュール型のアーキテクチャ(中間⾼速バス⽅式)を創造し、
⾼付加価値モジュール(CPU)を⾃社で供給し、
その他の低付加価値モジュール(マザーボードやHDDなど)を新興国に供給させることで、
最終製品の低価格化と⾃社の利益というトレードオフを解消しました。
CPUの価格が⽐較的⾼⽌まりしているのに対し、最終製品であるPCや代表的な部品であるHDDの価格は右肩下がりですね。
PCアセンブリの代表企業だったIBMはご存じのとおり、すでにPC事業から撤退しています。
ハッピーになった⼈(インテルや台湾マザーボードメーカー)がいれば、そんなにハッピーにならなかったりアンハッピーになった⼈(IBM、その他モジュールメーカーなど)もいます。
みんながみんなハッピーにはなりませんね。
⾼付加価値領域と低付加価値領域の組み合わせで製品アーキテクチャを設計し、
⾼付加価値領域を⾃社でクローズし、低付加価値領域を新興国に任せるという、
グローバル斜形分業が⼤事という話でした。
個⼈的な感想ですが、⼀部品メーカーが最終製品の新規構造という価値を⽣み出し、さらにそれを直接売るのではなく、撒き餌にして競争優位性を⽣み出したという事実に驚愕しました。(逆にそうしないと低付加価値モジュール側に追いやられる?)
モジュール内で競争するのでなく、⾃社モジュールがOnly Oneになるアーキテクチャを普及させる。できるものなら参考にしたいです。
Industrie 4.0 調べてみた その3 〜PCビジネスモデルの歴史〜
概要
初期のPCは摺合せ製品でした。
⾼速I/O、と低速I/Oがモジュール化して、PCの進化が加速!
⾼速I/Oの中⾝もモジュール構造になってPCが世界中に普及!
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こんにちは。
前回はIndustrie4.0の概要を紹介しました。
⽬指す姿もメリットも産業構造の整理も、まぁ、概念としてはわかるよ。で??
という感じでもやっとした⽅も多いのではないでしょうか。
公開されている資料を転載しただけだとこの程度ですが、ほかの情報と合わせて考察するといろいろ⾯⽩い発⾒がありますので、⼀緒に⾒ていきましょう。
今回は、Industrie4.0でもかなり意識されているでろう、PCのビジネスモデルについてです。
モジュール化によるビジネスモデル⾰新
PCは、CPU、メモリ、HDD、周辺デバイス(マウス、キーボードなど)からできていて、それらが上⼿に連携するから正常に動作します。
上⼿に連携させることは難しいことで、それを摺合せで実現し競争⼒にするアセンブリ企業や、その難易度を低下させるアーキテクチャを作り⾃社のポジションを獲得する部品企業など、いろいろな企業の戦略が出てくるため、ビジネスモデルの⾯⽩い教材だと思います。
PCのビジネスモデルの歴史は、垂直統合的だったモノづくりが、次々とモジュール化され、グローバル斜形分業に変化するものです。
PC業界の⽣態系は垂直統合型からモジュール型へ変化
初期のPCはIBMが垂直統合的に作っていました。それがモジュール型へと変化していきます。
以下にその変遷の図を⽰します。
図左のバスバッファ⽅式では、CPUを最適に扱うためのBIOS(ソフト)をクローズド領域として、BIOSへのインターフェースを周辺デバイスベンダーに公開し、サードパーティを呼び込みました。
サードパーティは周辺デバイスがIBMが公開するBIOSで正常に動くようにしっかり摺合せます。
なので他社の互換BIOSや別バージョンのBIOSだと使えなくなったりします。
IBM以外のPCアセンブリメーカーは、最新CPUを導⼊してもそれに対応したBIOSがないため周辺デバイスが利⽤できず、⾼性能PCを作ることができませんでした。
PCの進化はBIOSに強烈に⽀配されることになりました。
IBMがすり合わせているのかサードパーティがすり合わせているのかわかりませんが、初期のPCは摺合せ製品でした。
次に出てくるのが、図右のバスブリッジ⽅式です。
内部にバスブリッジを置き、CPUやメモリなどからなる⾼速I/O領域(及びBIOS?)と、周辺デバイスからなる低速I/O領域を分離しました。
これによりCPUとメモリや⾼速I/Oとの摺合せは依然として必要なものの、低速I/Oで接続される周辺デバイスとの摺合せが不要となり、PCアセンブリメーカーの負担は⼩さくなりました。
⾼速I/O領域と低速I/O領域というモジュールの組み合わせでPCを作れるようになったともいえます。
これでIBM以外のPCアセンブリメーカーがベンダーから⾼性能なCPUなどの部品を買って、PCを進化させることができるようになりました。
次が、インテルが主導した中間⾼速バス⽅式です。
今度はCPUからメモリとGPUを分離しモジュール化しました。
IBMのバスバッファ⽅式と⽐べると、ブリッジが増えた代わりに摺合せ要素が少なくなってきたことがわかります。
各部品メーカーは直近のインターフェースへの接続だけ気にすれば製品を作れますし、PCアセンブリメーカーは部品メーカーから⾼性能な部品を買って組み合わせればハイエンドからローエンドまで所望の製品を作ることができます。
モジュール化が進むことで各部品で競争が始まり、最終製品の性能はどんどん上がっていきます。
また、部品価格は下がり、PCのトータルコストも下がり、多くのユーザーにPCがいきわたり、ユーザーはハッピーになります。
ところで、部品メーカーは単価が⾼いほうがハッピーなのですが、
部品価格が⾼⽌まりしたらPCのトータルコストは下がりません。
そうするとユーザーはハッピーじゃないですね。
このトレードオフへの解がグローバル斜形分業です。